歴史案内

南アルプスロングライド2019のコースは、どんなところ?

山梨県は、甲府盆地(国中くになか)と富士山方面(郡内ぐんない)の2つに区分されます。南アルプスロングライドは、国中地方、その中でも甲府盆地の西側と富士川沿いを静岡に向かう地域(峡南地域)を走行します。

1日目に使用する甲府盆地の西側は、櫛形山や鳳凰三山から流れる川が作った扇状地を横断していくため緩やかな丘が続きます。スモモや桃の栽培、段々畑によるお米の栽培が盛んな地域ですのでしっかりとした農道が整備されおり、これを使ってコースを設定しました。

2日目の峡南地域は、富士川沿いに坂をつないだコースです。富士川は、甲府盆地に流れ込む川の水を集めて静岡の駿河湾に流れる川で日本三大急流(流れが速い川)の一つです。流れの速さは見てもなかなか実感できませんが、50~60年前はウナギがよく取れたそうで、老舗のうなぎ屋さんが点在します。富士川によってえぐられるようにできた谷の地形を川沿いに下り、激坂や峠といった魅力的な坂を経由して戻ってくるコースを設定しました。

簡単ながらコース沿って歴史や特徴を紹介します。

白州・韮崎ステージ

徳島堰(とくしませぎ)

スタート後、16キロ地点から第1エイドを過ぎるまでコースの左手を流れる水路は、1665年より江戸の商人徳島兵左衛門により起工された南アルプスから韮崎まで全長17キロの農業用水路の徳島堰です。当時は「月夜にも焼ける」(月の光でも土地が焼けるほど乾燥地域という意味)と言われるほどの水不足に悩まされたこの地域に、水を供給し農業生産を可能にしました。現在でも使用され、あま〜い桃、スモモ畑や水田に水を供給する他、小水力発電にも使用されています。

武田八幡宮

22キロ地点の第1エイドは、武田八幡宮入口の鳥居付近です。武田八幡宮は、信玄公(晴信)が再建した神社であり、先勝祈願を行った神社といわれています。信玄公と家臣団が、甲冑姿でエイド付近を通過したことでしょう。甲府市にある武田神社は、武田家の館跡に武田家滅亡後に建てられたものですが、武田八幡宮は、信玄公が生前に訪れた神社として有名です。

出典 韮崎市観光協会HP

七里岩

27キロ地点から5キロ程度、釜無川の先にみえる10m~40mの断崖を七里岩と呼びます。昨年は七里岩の登り坂がコースでしたが、今年は対岸から七里岩を眺めるコースとなっています。20万年まえの八ヶ岳の山体崩壊とその後の釜無川の浸食によりできた絶壁の地形を利用して武田勝頼は、新府城を築きました。新府城後は、七里岩ラインの途中にあります。

出典 韮崎市HPより

武川米(むかわまい)

40キロ地点付近から段々畑になってる田んぼを走る農道を通過します。この地域では、白州の名水を利用し日本一の「武川米」が栽培されています。甲斐駒ケ岳、鳳凰三山という3000メートル級の花崗岩の山をフィルターにして水は磨かれ、田んぼに注ぎます。標高700mと1日の寒暖差があま〜いブランド米をつくるのです。地元と一部の割烹など消費されるため、幻の米といわれ、徳川家の献上米としても使われたそうです。

また、この地域を信玄公の時代に支配していた折井氏、米倉氏、柳沢氏、青木氏らを武川衆は、武川衆と呼ばれ、実弟武田信繁らに使え川中島の戦いで勇敢に活躍したことは有名。武田家滅亡後は、徳川に仕え、その多くが旗本となっています。

富士黄金街道

50キロ地点から7キロ程度続く平坦の直線は晴れた日には、富士山が真正面に現れるサイクリストに人気の農道です。9月には武川米の稲穂が垂れる黄金の街道へ。まさに富士黄金街道(Golden Road to Mt.Fuji)!さらに八ヶ岳下ろしが背中を押す午後には、高速走行が可能となる韮崎・白州ステージの醍醐味ともいうべき道路です。

大村智先生

57キロ地点の第3エイドは、2015年ノーベル生理学・医学賞を受賞した大村智先生の銅像前となります。大村智先生は、韮崎市の出身で第1エイド武田八幡宮の近くには、大村先生の実家や大村先生が創立した大村美術館があります。大村先生が発見した抗寄生虫薬イベルメクチンは、熱帯地方の風土病オンコセルカ症(河川盲目症)およびリンパ系フィラリア症に極めて優れた効果を示し、中南米・アフリカにおいて毎年約2億人余りの人々に投与され、これら感染症の撲滅に貢献しているそうです。

韮崎市HPより

プチ・南アルプスステージ

プチ・南アルプスステージは、コース全体を通して左右の景色は果樹園の中を走行します。すでに収穫が終わっているためわかりにくいですが、桃、スモモ、ぶどう、サクランボの木の他、柿やなし、キウイが実を付けている景色となります。この地域は、フルーツの栽培が盛んで6月~12月まで様々なフルーツが楽しめるのです。

山梨県南アルプス桃源郷フルーツプロジェクト HP

その中で時折、桑(くわ)畑があります。桑は、おかいこさんのえさです。おかいこさんは、絹糸を吐き出すためミツバチと並び産業用に飼育される昆虫です。日本の生糸業は、昭和5年~15年をピークに年間4000万トンを超える生産量をほこり、このころは、コース上の果樹園の多くが桑畑だったのです。その後、外国産や合成繊維の台頭により国内の生糸生産が下降線をたどる中、販売単価の高い果樹への転作を進めていきました。果樹園の脇に生える桑の木や、管理が行き届かなくなり大きく成長した桑畑は当時の名残を感じます。 ちなみ30年の程前、私が小学生だったころは通学路に多数の桑畑があり、桑の実を食べる友達と一緒に帰ったものです。私は、あの色が苦手で食べることはできませんでしたが。

ツール・ド・富士川ステージ

富士川・富士川舟運

スタート地点から3キロ程度は、富士川沿いの土手を走行します。葛飾北斎の浮世絵風景画『富嶽三十六景』の1枚、甲州石班澤(こうしゅうかじかざわ(現富士川町鰍沢))は、この地域の富士川と富士山をモチーフしたものです。1830年頃の作品。

富士川町HPより

富士川は、山梨と静岡を結ぶ物資の大動脈として徳川の時代から明治44年(今から106年前)に中央線が開通するまで物資の運搬ルートとして使用され、スタート地点付近の地域は、宿場町として300年に渡り栄えた地域です。富士川を利用した船による物流を富士川舟運といい、長野、山梨の米を年貢米として船に乗せて半日程度で下る一方、静岡からは、塩や海産物を船に乗せ、船を人力で引っ張って4,5日かけて鰍沢へと運ぶことから「下げ米、上げ塩」と呼ばれました。道の駅富士川の店舗内の壁に貼られた写真で当時の富士川舟運のようすを見ることができます。

クラフトパーク 切り絵

26キロ地点となる第1エイドのクラフトパークは、南アルプスロングライドの前進大会であるツール・ド・富士川のスタート地点。5年ぶりにエイドとして立ち寄ることになりました。 クラフトパークは、東京ドーム11個分の大規模公園で山梨県はもちろん近隣の件から多くの家族ずれで楽しめる公園です。全国でも珍しい切り絵専門の美術館や、カヌー場、バーベキュー場、巨大迷路等、1日で遊びたりない公園です。パーク内で運営するフレンチレストランより、エイド提供いただきます。

クラフトパークHPより

身延山久遠寺

40キロ地点の第2エイド身延山久遠寺の門前町で一休みした後は、久遠寺の境内を目指してツール・ド・富士川ステージ名物の激坂を登ります。距離は短いですが、最大勾配は20%超、中間地点後方にてスタッフが退避所を案内します。もちろん一気に駆け上がってもよいですが、この後2つの峠がありますので脚はとっておきたいところ。 身延山久遠寺は、日蓮宗の総本山で1274年開闢(かいびゃく)された歴史ある寺院です。日蓮宗は、鎌倉時代、疫病や天災が相次ぐ末法の世、「法華経」をもってすべての人々を救おうとした日蓮聖人により興され「南無妙法蓮華経」のお題目を唱えることを重視します。 激坂を登り終えた後は、境内を自転車を押して徒歩で通過します。700年以上の歴史に刻まれた荘厳な雰囲気を実感してください。

みたまの湯

80キロ地点の第4エイドは、盆地を見下ろす絶景の露天風呂が有名な「みたまの湯」です。参加者とサポートライダーすべてに配布させていただく「温泉券」も使用可能ですので、ゴール後に夜景をお楽しみください。 みたまの湯近くの登り坂は大塚人参の最盛期を迎え、人参の葉っぱがたくさんなっている風景の中を走ります。この地域の農地は、石が少なくきめの細かい肥沃な土地であることから全長1メートルにもなる大塚人参が生育するのです。春先からはトウモロコシの甘々娘(カンカンムスメ)や、冬はエイドでも提供するキウイのレインボーレッド等、1年中楽しむことができます。

コースの途中で目に入るお城は、初代市川團十郎(屋号成田屋)がこの地域を治めた武田家家臣の堀越家の出であることを記念して建てられたふるさと会館です。武田家の城ではないですが、素晴らしい公園を兼ね備えた施設です。

初代市川團十郎

市川三郷町HPより(2016年のポスターです)

みさき耕舎

100キロ地点は、ヒルクライムチャレンジのゴール地点で第5エイドとなるみさき耕舎です。ヒルクライムチャレンジの途中後2キロの看板を過ぎて、後ろを振り返ると素晴らしい富士山を見ることができます。

富士川町は、ゆずとラフランスの生産が盛んな地域ですので両方をエイドにて提供します。こちらも桑畑からの転作が多いので、時折桑の木を見ることができます。

チャリたぬ

サイクル天国やまなしのマスコットであり、南アルプスロングライドのマスコットを兼務する「チャリたぬ」は、総勢7色。山梨県の各所に出没します。

南アルプスロングライドでは、スタート地点の道の駅富士川、白州・韮崎ステージ、プチ・南アルプスステージのエイド「ほたるみ館」、ツール・ド・富士川ステージの「みさき耕舎」にて出没確定。すでに、毎日スタンバイしております。当日は、もう1か所出没するとか。

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